BABY×DOLL

恩をアダで返すような真似をしてしまったんだ。

あのまま堪えていれば復帰できたのかもしれない。

だけど──もう芸能界に未練はない。

結果はどうであれ、琉嘉が言っていたように、あたしはムダな事をしたワケじゃないって思えるから。

今後のあたしの為に必要だった過ちや、出会い。

芸能界引退という対価を支払って手に入れた大切な'何か'

それがあれば、きっと大丈夫。

「社長、それから遠藤さんも。今まで長い間お世話になりました」

あたしがそう言うと、社長と遠藤さんはニッコリ笑った。

「これからもヨロシク」

「…は?」

「今後のスケジュールの打ち合わせをしようか」

「え?!」

あたしが目を丸くさせてると、社長は何か企んでいそうな顔をした。

「まだ引退はしないだろう?もちろんしばらくは活動自粛してもらうけど──」

「あたし…クビじゃないんですか?」

「セリカが引退したいって言うなら考えるけどね。私は'これから'だって思うよ」

あたしは困惑しながら遠藤さんの顔を見た。遠藤さんは真剣な顔で言う。

「マネージャーは私。セリカが嫌じゃなければね」

「嫌なのは遠藤さんの方じゃない…?」