BABY×DOLL

そして…とうとう病院前までやってきた。

恐ろしく静かで、あたしは怖くなった。

周りを見回しても、人の気配はない。
異常とも思えるくらい…静寂は騒音のようにも思えた。

「行こう…これなら平気そうね」

「うん」

琉嘉に連れられて、ゆっくりと確実に『ポスト』に近づく。

そこには小さな看板
『えんじぇる☆ベッド』
の文字と注意書き、それと小さな扉があるだけだった。

──こんな場所に、どんな気持ちで…自分の子供を捨てにくるのだろう?

ふと、そんな事を考えた。

事情があっての事だ。誰も自分勝手な都合だけで、自分の産んだ子を入れには来ない。

多分、苦しいし
死にたくなるくらいだと思う…

こんな場所、簡単に捨てに来られる場所でも便利な場所でもないよ。

捨てる運命──それでも産むべきだった?
育てられないなら、中絶すべきだった?

いまだにわからない。

あたしは後者を選んだけど、どちらが正しいかなんてわからない。決められない。

日本には選択肢がいくつかあるって事だけ。

きっと一生わからないだろう…

正解はない。
一人一人が、自分の中で答えを見つけていくのだろう───

琉嘉が、
扉を開けた。