BABY×DOLL

それ以上、何も決めたりしないで、あたし達は電話を切った。

琉嘉が帰ってきたら…一緒に龍之介を帰しに行く。

あと少ししか一緒に居られない。そう思うとまた泣けてきた。

「セリカ?」

鷺沼さんが心配そうに声をかけてきた。

「今夜、龍之介を帰しに行くわ」

「そっか…決まったんだ」

「ん…。さて、と!荷物まとめなきゃ!鷺沼さんも手伝って!」

「龍之介のものは僕がまとめるから、君は龍之介と遊んでたら?」

「え、でも」

「もう…龍之介には会えなくなると思うから」

「──!」

そっか…そうなんだ。多分、二度と会えない。

当然よね?
誘拐犯だもの。

そう言われて、スゴく寂しくなった。
鷺沼さんとも、琉嘉とも会えなくなるのかな…?

今夜、全てが終わるのと共に──別れも訪れるんだね。

「泣くなよ。ホラ、龍之介と遊んでおいで」

「ありがと…」

鷺沼さんに背中を押され、あたしは龍之介のそばに行き、彼を抱きしめた。





それからの数時間の事を、あたしはずっと忘れない。

龍之介と過ごした最後の時間。ずっと笑顔で居られたこと。
穏やかで苦しい時間。



やがて…琉嘉が帰る時間になった…。