BABY×DOLL

「私、聞いた事があるの。赤ちゃんってね、お腹の中にいた時に聞いてた音を聞くと安心するんだって」

「それがお母さんの心音ってこと?」

「うん。当然よね?生まれるまで、ずっとお母さんと一緒だったんだもの。でもね、私が思いついたのは別のこと」

「?」

「これはあくまでも予想なんだけど、でも正しい気がするの」

「何よ?」

「龍之介は、母親の胎内にいる間中…ずっとセリカの歌を聞いていたんじゃないかな?!」

「──え?」

「セリカが歌うと、龍之介が泣き止むって言ってたでしょ?笑ったりもするって…これはつまりそういう事なんじゃないのかな」


…あたしの歌を

生まれる前から…?



「小林仁奈はセリカのファンだったんでしょ?」

「前はそうだって言われた」

彼女と知り合ったばかりの時、彼女はそう言ってライブにも来てくれた。

彼女のストレートなファンっぷりが恥ずかしくて嬉しかった。

「彼女は何も知らないのかもしれないわ。セリカの歌を聞いてたのは虎之介だって知ってたかもしれないし」

──わからない。
何もわからないけど
胸が締め付けられるような感覚。

龍之介が記憶する程にあたしの歌を聞いていたの?