BABY×DOLL

「別にいいよ!会わなくたっていい!やっぱり会うのは嫌!」

「いい加減にしなさい!そんな事言ってる場合じゃないでしょう!」

「…」

「ホラ!早く行くわよ!」

結局、反論も出来ず
私はおばぁちゃんに手を引かれ病院の中へ入って行った。

言えば怒られるのもわかってた。だけど

見たくない
会いたくない
でも会いたい気持ちもある。
矛盾だらけで
頭の中はグチャグチャだ。

一歩一歩、進む自分の足を見ながら、言い表せないような感情が膨れ上がっていく…

仕方ないって思いながら、母親の最期を看取る勇気もないまま病室へ入る。





「…!」

ドキンとした。

仕事で何度か見た──最期の時が迫りつつある患者…

一目でわかった。

もう母親の人生は終わるって事。

母親の傍らには、知らない男性がいた。
母親と同じくらいの年齢だろうか?

白髪混じりで、きちんとした身なりの男性は私達が来たのに気付き声をかけてきた。

「…すみません。もっと早くに連絡するべきでした」

「母の容態はどうなんですか?」

「医者が言うには…明日の朝には…ってことらしいです…」

「そうですか。やっぱりガンが原因で?」