BABY×DOLL

「何の事だよ?」

鷺沼さんは、わからないって顔をした。
──あの理由も、あながち嘘ではなかったって事よね。嘘をつくのが上手い男だわ。

そう思いながら答えた。

「'そういう事'にしておくわ。泊まっていくんでしょ?じゃあね、明日の仕事が終わったら帰るから」

「気をつけてな」

「うん」

私は振り返らずに返事だけして、エレベーターに乗り込んだ。

少しだけ、ため息をつく。

やっぱり私は独りなのよね…

今更だけど、悲しいワケじゃない。慣れてるもの…この生活だって終わり。
セリカと龍之介の面倒をみるのも終わり。

またケンカしちゃったし。相性悪いのかしら?基本的に意見は合わないのよね。

彼女の言う事も一理あるのはわかってる。
私が考えるだけで、行動には移さない性格だって事…何の可能性も広がらないものね。

ちょっと痛かった。
図星だったし──ケチだって?確かにね。
少しだけ、彼女との言い合いが楽しい。今まで、そんな事を言い合うような友達もいなかった。

思わず笑いながらマンションを後にする。


少し歩いた所で、携帯が鳴った。

また母親から…

画面の名前にウンザリしながら、私は諦めて電話に出た。