BABY×DOLL

龍之介の泣き声が、あたしに届かないように布団をかぶって耳を塞いでいた。

やがて…琉嘉が戻ってくる。

龍之介を見て何て言うか、あたしは言い訳ばかり考えていた。



   ガチャ

玄関のドアが開く音。そして琉嘉の声が遠くの方で聞こえた。

「タダイマ~…あれ?」

ドキン…ドキン…

「…龍之介…?ちょ、ちょっと!どうしたの!?何よこれ!!セリカ!セリカっ!」

琉嘉の大声と共に足音が近づく。
琉嘉はあたしがかぶっていた布団を剥いだ。

「…セリカ!」

「…」

あたしはうずくまったまま、琉嘉の顔を見る事ができなかった。

「聞いてんの!?セリカ!セリカ…っ!!」

怒っている琉嘉はあたしの胸ぐらを掴み、無理矢理、顔を上げさせた。

「アンタがやったの!?龍之介をアンタが殴ったの?!」

言い逃れはできない。あたしは正直に答えた。

「…うん」


   バシッ!!!!


琉嘉の手があたしの頬をうった。
その痛さに一瞬、目の前が真っ暗になる。

「アンタ何してんのよ!!自分が何をしたかわかってんの!?」

「わかってる…」

「わかってない!龍之介の手当てもせずに逃げてるなんて絶対わかってないわよ!」