BABY×DOLL

『初恋…まだなんですか?』

『好きになった方はいたのよ?でも恋と呼べるほどの想いでもなかったと思うわ。もう恋する機会もない…それが少し心残りね』

『残念ですね…じゃあ僕と今夜だけ恋仲になりますか?』

『…えっ!?』

『貴女が良ければって話しですよ。最初で最後の…一夜だけの恋っていうのも文学的じゃないですか?お誂え向きに月も綺麗ですよ』

そう言って振り向き、私を優しそうに見た彼の顔…

月はキレイな弧を描いて青く空を照らし──引き込まれそうなほど美しかった…

──その光景に高鳴る胸。

一夜だけの
最初で最後の恋…?

『どんな事をするの?』

『何でもいいですよ。例えば…まずは手を握るとか』

先ほども触れた彼の手なのに…少し緊張しながらも私は彼の手を握った。

『…それから?』

『では僕が貴女を抱きしめる、ってのは?』

『えぇ…』

私が頷くと彼は私の肩を抱き寄せ、私は向きを変えて自ら彼の胸へと収まった。

彼は私の背中に腕を回し優しくではあるけれど、ほどけないくらいに抱きしめてくれた。

──何故、出会ったばかりの男性に

私はこんな事を許しているんだろうか?