BABY×DOLL

'───あぁ
もうウンザリよ。

来客全てに挨拶しなきゃいけないなんて。
結婚したからって全部と付き合うワケじゃあるまいし

大半は、お父様と面識を持ちたくて来たんじゃないの?

あぁ、あと私の夫になる彼にね。

…彼の名前、何だったかしら?

忘れちゃったわ。

愛しあって結婚するんじゃないんだもの。
実際、会って話をしたのは二度ほど。

今夜でお会いしたのは三度目だっていうのに、私には見向きもしないわ。

──本当に彼と結婚するのかしら?
本当に彼を愛せるのかしら?

彼の子供を産んで育てたりするのかしら?

…全然実感が持てないわ…。

それよりも、
とにかくここから逃げ出したいわ。

『!』

周りを見回すと、丁度バルコニーが開いていた。

私は人目を忍んでそっと外に出た。

地面まではあまり高くない。でもこの手すりに、このドレスでは降りられないかしら?

──こんな洋装など着てなければ!こんなパーティでなければ間違いなく跨いで降りていたわよ!

しばらく考えていた時、外に人影が見えた。どうやら一人。パーティのお客かしら?

この際、手を貸してもらえるのなら誰だっていいわ!

私はその人に声をかけた。