BABY×DOLL

「何か理由があって、こうなっているんだと思う。それを僕は聞かないし詮索しようとは思わない。だけど、キミは自分の過去を否定したいのか?」



…否定したいかって?



もちろんよ!


あんな過去なんかいらないし、消したい!




そう思うのに、捨てられないこの手帳のように、過去を棄てる事も忘れる事もできない…

だって───





それはあたしの赤ちゃんを否定する事になる


産めなかったのは
  あたしの愚かさだ

あの子に罪はない
なのに、あたしや虎之介…両親に否定されたら…

あの子の命は何だったの───?




「…!」

あたしから返事の代わりに涙がこぼれた。

あたしの頬を伝う涙を彼の大きな手が触れ、指で拭ってくれた。

「…ゴメン!こんな事言うつもりじゃなかったんだ。余計な事言ってゴメン」

彼の手があたしの顔に触れたまま。
その手が温かくて…涙は止まらなくなった。

「あ―…どうしよう」

彼はすっかり困っているらしく…あたしの泣き顔を他の人に見られないように手で隠し

ずっと頭をなでてくれていた。


どうしよう…こんな事されたら余計、涙が止まらない

でも泣きたかった…