BABY×DOLL

「緊張した?」

そう言って森島さんはあたしの頭を軽く撫でた。

ホッとした…
夢中で小夜を演じていたらしい。

「あたし…大丈夫だったかな?」

「初めてにしては上手かったよ?オレとは大違いだった!」

「良かった…ありがと」

あたしが落ち込まない為に彼が上手くフォローしてくれた。

それからの撮影も大変で、最初みたいに上手くいかないことばかりだった。

監督に叱られる。
でも叱られた意味がわかんなくて困っていると必ず森島さんが優しく教えてくれた。

森島さんが居ない時は他の女優さん達も教えてくれたし。

あたしは初体験ながらも徐々に現場にも人にも慣れていき、この仕事が楽しく思えてきた。

…女優業って面白いかもしれない。

別の『あたし』を表現できるジャンル。

演技だから、自分じゃないような気もするけど、やっぱり『自分』が出ている気がするの。

歌以外で自分を表現できるなんて考えもしなかったから…新しい発見にあたしはドキドキしていた。

もちろん…それ以外にも毎日ドキドキしていた。

あたしの中で名付けられた【X-Day】

──初めて
キスをする日

やっぱり意識しちゃって前日は一睡もできなかった。