BABY×DOLL

交渉は成立──私はとりあえず満足して院長室を出た。

これで多分…私が疑われる可能性は更に低くなったと思う。

それだけでも安心できる。かなりホッとした事に気づいた。結構、精神的にキツかったみたいだ…

そのまま帰ろうと、廊下を歩いていた時
あの子の病室の前に差し掛かった。

龍之介が居なくなった時、容体が悪くなり意識不明になった子…私の担当していたお母さんの赤ちゃん…

まだ意識が戻らない。ずっとこのままかもしれないし、脳に障害が残るかもしれない。

母親は毎日、片時も離れずに赤ちゃんの側に居て見守っていた。

そして今も…

子供を持った事も、母親になった経験もないから
私がどれほど理解できてるかわかんないけど…

どれだけ子供を愛していて、大切に思っているか分かる。

多分、小林仁奈だって同じだ…

彼女には悪いと思うけど、ほんの少しの間だけだから────

すぐに返してあげたい気持ちを
『セリカの望み』だからと言い聞かせて
私はまた廊下を歩き出した。…が、

病院の入口付近が騒がしいのに気づいた。

「?!」

ドアの前はカメラやマイクを持った人だかり。

──どういう事!?
何でマスコミが来てるの?