BABY×DOLL

病院のある駅に着いて私はセリカに話したように旅行用のバッグを駅のコインロッカーへと押し込んだ。

大きさは十分…生まれたばかりの赤ん坊なら楽に入るわ。

中にはベビーベッドになるように軽くて小さなカゴと、バスタオルを何枚かと小さな哺乳瓶。

ミルクとお湯の入った魔法瓶も入れておいた。

それから注意事項を書いた紙。

これから数時間、子供を産んだ事もなければ触った事もないような人が面倒を見なくちゃいけないんだもの。

心配なんだけど
めちゃめちゃ心配なんだけど…セリカを信じよう。


その後コインロッカーの鍵を駅のトイレの個室に隠して、私は病院へ向かった。





…緊張しているせいなのか、思ったよりも早く病院に着いてしまった。

──怪しまれないだろうか?
行動の一つ一つが、いつもと違っているんじゃない?

誰かの記憶に残るような行動を取ってない?なんて、敏感になりすぎていた。

気にし過ぎちゃかえって変な事をしちゃうものよ?
冷静にならなきゃ…

何度も深呼吸し何事もなかったかのように、いつものように引き継ぎをして仕事についた。


消灯時間を過ぎたあたりから
私は時計を気にし始めた。

あと数時間…