BABY×DOLL

「都合いい方…か」

私は悩んでいた。
そんな気持ちをセリカは察したのか、不安を隠しながら力強く言ってくれた。

『あたし、何だってやれるよ!世間知らずのあたしの代わりに琉嘉が考えてくれたんだもの。きっと上手くいくよ!』

「…セリカ、本当に後悔しない?」

今度は私が彼女に聞いた。
お互い不安なのは分かっている…

『しないよ』

セリカは即答した。

「私もしないわ…必ず成功させよう」

私も答えた。

もう、私達は前に進む為の一歩を踏み出した。

後戻りできない…

できたとしても
止めるつもりはないわ

私は考えた事をセリカに伝えた。

「誘拐された事がわかると警察が動くわよね?非公開で捜査されるとしても

まっすぐ電車に乗ってマンションに向かうのは危険な気がするの」

『最寄りの駅から乗り降りした人物がカメラに映ってるかも…とか?』

「そうね。出来れば途中下車して…トイレとかで赤ん坊に授乳させて、セリカには着替えて東京駅へ向かってほしいの。…できる?」

彼女にかなりの負担になるかもしれない。
それでも捜査を撹乱させるのに少しでも手を打ちたいの…

『やるわ!任せて。上手くやってみせるから!』