BABY×DOLL

「も、森島さん!?あの森島さんなの?」

「そうよ?相手としては悪くないでしょ?」

森島 虎之介は──今めちゃめちゃ人気のあるイケメン俳優の一人だった。最近のドラマにもひっきりなしに出演していたし

落ち着いた誠実そうな雰囲気の人だったから年上にもオバサマにも人気があった。

でも──確か

「森島さんって、あたしより少し年上じゃなかった?」

「そうね…多分25歳くらいじゃないかしら?」

「なのに年下役?」

「役のイメージに合っていたんでしょ?それに彼、若く見えるし」

「森島さんか…」

これでオファーを受けたら…あたし彼と疑似恋愛するのかしら?

そして彼とキス?

実感がわかないな…一緒に仕事した事ないもん。テレビ局で一、二度すれ違ったくらいで話しもした事ないし。

確かにイケメンだし、相手としては最高かもしれないけど

それとこれとは話しが違うよね。

ファーストキスって事はさ…人生で一度しかないって事なのよね!

二度目以降は誰と何をしてもいい気がするけど

──やっぱり

大事にしたいな…あたしの一つだけのファーストキス。


やっぱり映画の話しを断ろうとした時、あたしは森島さんに会った。