「柚夏、またお前リボン」 卒業前日。今日は予行練習の日だ。 体育館に入場する前、いつものように隼人があたしの首元のリボンに手を伸ばす。 自分で結ぶタイプの赤いリボンを、あたしはいつも上手に結べていなくて、隼人に結んでもらっていた。 まあリボンをはじめとして、掛け違えたカーディガンのボタン、変に立っているブレザーの襟などなど、 ありとあらゆるところを正してもらってるんだけど。