それから数日、リュウ君とは時々目が合うものの、私がその視線から逃げるばかりで、特に何も起きなかった。もともと接点もないしね。

あの日はたまたまだったんだ。目の前に私がいたからキスしただけで、意味なんかなかったんだ。

ちょっと心がチクンと痛んだけど、あまり気にしないようにしていた。

そんなある日、私はまた日直で教室で1人日誌を書いていた。

後少しで終わると思った時、"ガタン"と音がして…、そっちに目を向けた途端、私の心臓はまた跳ね上がった。

ドキン。ドキン。

「リュウ…く、ん?」

そう。扉に手を掛けて、真顔でじっと私を見詰めていたのは、あれ以来話すことの無かった、リュウ君だった…。