拓が気にしていたのは…
私と涼のこと。

「なぁなんで?」
「だってさっきおまえら以上じゃない空気流れてたじゃん。」
「そう?ただの仲のいい友達でしょ。」
「そうは見えなかった。」
「なんもないよ。」
「だって涼…おまえのことななって読んでた。」
「…それは…」
「昔付き合ってたとか?」

私は…
付き合ってはいなかったけど…
あの時2人で過ごした時間は…
私にとって付き合っていたも同然だったから…
否定はできなかった。
そしてしなかった。

「そうなんだ…」
「ごめン…」
「なんであやまんの?昔のことじゃん。」
「ウン…」
「良いんだよ。別に…」

それから私たちは一言もしゃべらなかった。
拓もしゃべろうとはしなかった。
肩をがっくし落としていた。

私は改めて罪悪感に覆われた。

涼を手に入れるために…
拓を使ってる。

それがばれたらきっと…
拓は深く気づ付くだろう。

そう思ってた。

私は気付いていなかったから…
そう思ってた。

もうはや拓が傷ついていることに…
私は気づいてなかったから…