コツコツコツコツコツコツコツコツ・・・

真美は私一人を視聴覚室に置き去りにしてさきに教室へ戻ってしまった。
わたしは1人取り残されてしまった。

そして座り込んでいるうちに涙があふれ出してきた。
ホホを伝い・・・
手に落ちて・・・
手を伝って・・・
床に落ちる・・・
その涙をぬぐうこともせず・・・
私はただただ・・・
無言で泣き続けた。
泣いてもどうすることもできない。

真美が悪いんじゃない。
涼も悪くない。
だれも悪くない。

悪いのは・・・
わたしなんだ。

ただそう思い・・・
ひたすら無言で泣き続けた。
声を出すこともなく・・・。

声を出して泣けばいい。
そして皆からの注目を浴びて・・・
真美を悪者にして・・・
涼に慰めてもらえばいい・・・。

そうも思ったけど・・・。
なぜかわたしはただひたすら声を殺し・・・
泣いていた。

そして人生で初めて授業をさぼって・・・
ずる休みをして・・・
早退した。

顔を観られるのが嫌だったため・・・
仕方なく真美にかばんを持ってきてもらうことにした。

「はぁい。帰ってくれてうれしいゎ★真美ね!席替えで涼君の隣になったんだぁ!」
え・・・。
そんな・・・。
「まぁ・・・。あんたなんか一生無理だろうけどね。さっさと帰れよ。鞄持ってきてやったんだし。」
「はい・・・。ごめんなさい。」
「じゃぁーね!なな!気お付けてねぇ!!」
「ば・・ばいばぁい・・・」

真美は心底腹黒い奴だった。
皆の前では今までどおりの友達を演じ・・・
良い娘ぶって・・・

私と2人きりだと・・・
鬼になる。

でも・・・。
ハぶられるのはもういやだから・・・。
ただひたすら我慢するしかないんだ。