「これじゃ一生乗れねえ〜」
さっきから神谷は隣でそんなことばっかぼやいている。
「こーなったら…俺いい作戦があんだけどやっていい?」
真剣そうな何か企んでそうな顔の神谷。
「どんな作戦よ?」
こいつのことだし変なことでも企んでそう。
「まあ見てろって♪すいませーん」
神谷は自分の1つ前に並んでいる人の肩をたたく。
「はい何ですか?」
高校生のカップルだ。
彼氏が神谷の方を振り返った。
「順番抜かしていいっすかね?」
「ちょ…神谷何言って…」
神谷の発言に私は口出しした。
けど神谷の耳には届いていない様子。
返事どころか私の方さえ向いてくれなかった。
「なんでですか?俺たち長い間待ってるんですけ「いいからどけー!!!」
彼氏が迷惑そうに言うと神谷が怒鳴り声を上げた。
その姿は他の人から見るとかなり怖いかも。
そりゃそうか。
金パだしピアスつけてるし私服派手だし、恐がられそうなヤツだよね神谷は。
私は別に怖くない。
ただ大嫌いなだけ。

