―翌日―
「優奈おはよ。」
学校へ行く用意をして玄関のドアを開けると、いつも通り横山くんの姿があった。
「お、おはよ。」
昨日のことがあったから、横山くんを恐れている自分がいた。
「あ、頬にアザできてんな。」
横山くんが私の頬のアザに気付いた。
昨日、横山くんに平手打ちされたときにできたアザ。
まだ少しヒリヒリ痛む。
「う、うん。」
「大丈夫か?」
「え??」
横山くんのせいでできたアザなんだけど。
なんで心配すんの?
「まだ少し痛い。」
「へえー…」
横山くんは興味なさそうに言い、ポケットに手を突っ込む。
「あのさあー…なんでこんな距離あけてんの?」
横山くんの不機嫌そうな声に肩が凍り付く。
また何かされたりするのが怖くて横山くんとの距離を少しあけていたのだ。
「あはは…別に…きゃっ!」
私が笑ってごまかそうとしたとき、横山くんが寄り添ってきた。
怖い。
怖い。
また何かされたらどうしよう。
前までは寄り添うくらい普通だったのに。
「付き合ってんだからそんな距離あける必要ないだろ。」
横山くんの手が私の肩に回る。
横山くんの手。
昨日私の頬を叩いた手。
私の髪を引っ張った手。
やだ。
怖いよ。
思い出したくない!

