「うわっ!あいつ学校のボロい上履き履いてるし(笑)きもっ」
学校の上履きを借りて横山くんと教室に入ると一番にそんな大きな声が聞こえた。
優花の声だ。
優花の方を見ると友達と一緒に私の方を見てケラケラ笑っているのが分かった。
私は、俯いて唇を噛み締めた。
悔しい。
「てめーら!!ふざけんな!!!」
その時、教室中に響いた怒鳴り声で私は顔を上げた。
目の前には、横山くんが優花の髪を思いっきり引っ張っている姿。
クラスの皆はざわざわしている。
横山くん…?!
私は驚いて声も出なかった。
「ちょ…痛いじゃん!!離しなさいよ!!」
優花が横山くんの手を振りほどこうとする。
けど横山くんの手はびくともしなかった。
「これからまた優奈ちゃんになんか言ったら許さねえからな!!」
そして横山くんの手が乱暴に離れた。
「行くぞ優奈ちゃん。」
「う……うん…。」
私は、伸びてきた横山くんの手を握り教室を出た。

