「それに、先輩のファンに目を付けられるのもごめんです。」 何か、何かもっと決定的な言葉を。 「それに、それに、もし私が今の先輩の立場と逆になったら、先輩、太刀打ち出来るんですか?ちゃんと助けてくれるんですか?やっぱりあきらめて逃げちゃうんじゃないですか?今みたいに。」 ああだめ。無駄に傷付けるような言葉しか出てこない。 先輩は立ち尽くしていた。 「…っ。し、失礼しますっ」 美姫は居たたまれなくなって、千円を置いて、店を飛び出した。 バカ。 臆病者は私の方だ。