彼の胸の温もりと

彼の残り香が

私に纏わりつき

強い不快感に襲われる。
  
『俺の女になれよ』

聞きなれない彼の声が

耳に残る・・・

その時、携帯が鳴り
私は慌てて電話に出た。

「もしもし、イオリ
 さっきね・・・」

私は、怖かった思いを庵に
伝えようとして止めた。
  
話をすれば、きっと彼は
私の事を心配して、ここまで
迎えに来てくれるだろう。

『単独行動さえ取らなければ
 大丈夫・・・・
 我慢してあげてね』

言えない・・・