その綺麗な横顔に、私は言う。

「もう、貴方には逢わない
 
 私の名前、忘れていいよ
 
 私も、あなたの名前
 
 忘れてあげる」

これで、本当に終わり・・・
 
私の片思いは、やっと終わる。

その場に立ち尽くし
庵は、煙草に火をつけた。

「兄貴、いいんですか?
 彼女の事が大切なんじゃ
 ・・・・・・」

「いいんだ」
    
「親父の話・・・ですか?」

「ヤクザの頭の女になんか
 収まる玉じゃない
 
 アイツは
 もっと自由に空を飛べる
 
 あの、蝶みたいに」

飴色の蝶が、儚く飛んで行く。