庵は、何も言えない・・・

そんな庵から、私は離れた。

「貴方は何も言ってくれない
 
 私の欲しい言葉を、貴方は
 絶対に言ってはくれない
      
 それでもいいと思った
 そんな言葉が無くても
 貴方が私を求めてくれた事
 死ぬほど嬉しかったの
 
 ひとつになれて幸せだった
 
 だけど、隣で眠る貴方を見て
 私の心は泣いた
 
 目に見えないものだからこそ
 言葉が欲しいの
 それは、嘘の言葉でも
 良かったのに・・・
 
 イオリ
 私は、あなたに愛してるって
 言って欲しかった」

庵は、菫を見る事無く
顔を逸らした。