あの音をもう1度

「っ! な、なに?」



いきなり涼太が話しかけてきた。


でも、なんだか言いにくそうにしている。



「…奏の家族にさ。ピアノ…また始めたこと言ったか?」



「ーっ!!」



言葉が止まった。




すると涼太は「やっぱり」ていう顔をした。



「…様子が変だとは思ってたけど、言ってなかったんだ?」



「う…うん」



そんなこと…ピアノをまた始めたなんて、簡単に言えない。



私が苦しんでいるとき、両親は悲しげな目をしていた。


ピアノを辞めるって言った時、1番悲しげだった。


過去のデータも消してもらって…そこまでしてもらったのに。






「--でもさ、いつかは言わないといけないだろ」