あの音をもう1度

「えっ・・・・」


栞は目を見開いて固まる。








そりゃそうだよね。


栞はずっと私の傍で拒絶反応を見てきた。



それなのに急に弾くなんて…














「本気なの…?奏」


栞はギュッと私の服の袖を掴む。




「うん。もう迷わない」


私は動揺で揺れる栞の瞳を見つめる。




すると、栞の目からポロポロと涙が溢れだしてきた。




「し、栞?!」



「ちっ、違うの!」


栞は急いで涙を拭った。




「これは嬉し泣き。
また…、奏がッ…弾くって…言ってくれ、たから」



また流れそうな涙をグッとこらえて、赤くなった目で栞がニコッと笑った。