あの音をもう1度







どうして、鈴宮は私がピアノを弾くだけでこんな嬉しそうな顔をするの?






「ん~…これで、いいだろ」



鈴宮は1冊の本を持ってきて、譜面台に置いた。





「! これ、十分難しくない…?」



鈴宮が持ってきた楽譜は、どう見ても何年もピアノを弾いていなかった人が弾く曲じゃない!





「弾いたことない?」



「昔はよく弾いてたけど…」



「なら、大丈夫」



鈴宮は私の手を引いてピアノの前に座らした。





「す、鈴宮ッ…!」



「大丈夫だって」



抵抗しようとすると、鈴宮は手を私の肩に乗せた。








「俺、奏の才能にホレてるから」