「それから俺は別のコンクールに出たが、奏はいなかった。

そうしていつか、奏がピアノを辞めたという噂が流れて始めた」



ーッ!



「認めたくなかった。
あんなにいい音出すのに、辞めたことが信じたくなかった。

でも奏はあの大会以来、姿を現さなかった」




鈴宮が言う最後の大会がどの大会なのか、よく覚えていない。


あの頃は感情の起伏も激しかったし。




「そして俺は違うことに興味を持ち、ピアノを辞めた。

それでも、いくら年月が経とうとも奏の音だけは忘れる事が出来なかった。


そして俺は・・・もう1度、奏のピアノが聞きたくて、奏を探し始めたんだ」




えっ…?