「針って…大丈夫だったのかよ?」


鈴宮は眉間にしわを寄せる。



「うん。仕組んだのは私を妬んでいた親子だった。幸い怪我はしなかったけど…」






でも、それ以上に心に傷を負った。






「ピアノを弾くことが苦痛に変わってピアノを続けてこれたのはピアノ自体が好きだったから。

でも・・・ピアノを傷つけられたことで私の心は折れた」



大好きなピアノだったからこそ私のせいで凶器を仕込まれていたのは自分が傷つけられるよりも悲しかった。




だから---





これ以上、ピアノを傷つけたくなくて--













「私はピアノを辞めた」