あの音をもう1度

「…何もしていないよ」



「うそ!昨日の放課後から…鈴宮くん案内してから奏の様子がおかしかった。

今日も朝から元気なかったし…」


遠藤は心配そうに奏を見つめる。




・・・遠藤になら言ってもいいかもしれない。






「……か、音梨に『ピアノ弾いてほしい』って言った」






“ピタッ…―”






俺がそう言うと遠藤の動きが
止まった。




「それ…―本当?」



「あぁ」


遠藤の様子が明らかに変わった。


どうしたんだ?




「なんで、そんなこと言ったの?!」


遠藤はいきなり叫びだして
俺を涙目で再び睨んできた。