「奏…」


俺はベッドの隣にあるイスに座って奏の顔を見つめる。




たぶん“嫌なこと”とは、さっきの音楽室でのことだろう。


寝不足も、もしかして昨日のことが原因なのか…?




悶々と考えていると“ガラッ”と勢いよく保健室のドアが開く音がした。



振り返ると、そこには同じクラスの遠藤がいた。




「遠藤?」


「か、奏は?!」



遠藤は息切れしていて肩で息をしている。


ここまで走ってきたんだろうな。



「奏!」


遠藤はベッドに眠っている奏の傍に駆け寄ってきた。





「――奏に何をしたの?」


遠藤はキッと俺を睨んだ。