そんなことは十も承知で…百も承知なのに・・・ そんなことを考えると涙が溢れる。 「りょ・・・た・・・」 いつのまにか涼太に占領されていた心。 わかっていたつもりだったけど… いざ離れるとなると否応にも実感させられた。 自分がどれだけ“好き”なのかを--… 「--呼んだ?」 っ・・・ 一瞬、幻聴かなって思ったけど後ろから聞こえるドアの閉まる音があまりにもリアルで・・・ そっと振り返った。 「…やっぱ泣いてる」 切なそうに笑う愛しい人の姿。