あの音をもう1度



やっぱり涼太にはごまかしがきかないね。



スッと息を吐いた。





「・・・・涼太は、アリーヌ・シュマルを知ってる?」



「アリーヌ・シュマルといえばあの有名ピアニストのことか?」


「そう。私がピアノをまた始めたのはお父さんは知っててね。
わかんないけど、いつかのコンクールで弾いた私の曲をお母さんがお父さんに送ったんだって」



「それってもしかして・・・」


ハッとする涼太。





「…うん。偶然その曲を聞いた彼女が言ったんだって。

自分のところに来ないかって・・・」




ふぁぁ…と少し冷たい風が部屋に入り込んだ。