「ハァハァ・・・」 あと、もう少し! ―…そう。 あのときと同じように私は演奏を終えてからバルトニアさんのいる控室には戻らず、階段を駆け上がっていた。 あのときと同じように、そこにアイツがいるとは限らない。 でも、いるような気がした。 一刻も早く会いたくて、階段を上りきった。 ドアの前。 緊張しながらも私は扉を開けた。