あの音をもう1度


「俺もしっかり聞いたよ。
…やっぱ奏はすげーよ!感動した!」


その言葉の熱を帯びる口調に嘘はないことはすぐにわかる。




「それにさ・・・奏はピアノをずっと忘れられなかった。
それと同時に俺みたいにずっと奏を待っていた人達はいたんだ。

奏は…1人じゃない」



「涼太・・・」








本当にありがとう。



何回お礼を言っても言い足りない。


涼太がいてくれたから、だから私はもう1度向きあうことができた。


もう1度、この感動を知ることができたの。










あの場所は――



私が輝ける場所。














涙を拭おうしたら、涼太が私の体を離した。


表情は、さっきまでとは打って変わって真剣。