あの音をもう1度


「えっ…?」



「久しぶりのステージでのピアノ、すごく気持ちよかった!

ドキドキして…楽しかったの!」



やっと状況を理解したのか涼太は優しい顔つきになって「うん」と頷いた。





「それにねっ…!
お客さんが、『おかえり』って…『待ってたよ』って言ってくれたのっ」










――まだ胸がドキドキしてる。


あの感動が未だに体を包んでいる。








嬉しかった…!




本当に今までで1番っていうぐらい嬉しかった。



だから、この気持ちを一刻も早く涼太に伝えたくて…


私は抜け出してきた。





涼太はほほ笑みながら私の髪を私の耳にかけた。