私とピアノと出会いは、すごく大きなこと。


幸せなときも、悲しいときも側にあった私の大事なパートナー。




涼太はフッと笑った。


「…どういたしまして。きっとこのピアノも俺の家より奏の元にあるほうが幸せだと思うから」











「そうね。私からもお礼を言うわ」


お母さんは立ち上がった涼太の前に立った。




「…ありがとう。奏をもう1度ピアノと向き合わせてくれて」




「い、いや…、俺は何もッ・・・・」


珍しく涼太がうろたえている。




お母さんはゆっくりと首を振った。




「いいえ。あなたは奏の心の底の気持ちを読み取ってくれた。そして、もう1度奏がピアノと向き合うチャンスをくれたわ。

本当にありがとう」