あの音をもう1度

「あ、ここだよ」


私はピアノの部屋を開けた。





黒のグランドピアノが夕陽に当たって、キラキラと光る。


涼太は部屋に入ってグルグルと回りながら、ピアノを見る。





「…どう?」



「ん~…。見たことあるようなないような」




どっちなのよ?ι



「あ、涼太!?」



しゃがんだと思ったら、ピアノの下に潜り込んだ。


涼太は真剣な顔でピアノを見つめる。



その横側に不意にドキッとしてしまった。




ううん。このドキッは、びっくりしたからだよね…


そう無意識に理由づけて。










「あっ!なぁ、奏」


涼太はピアノの真下を見ながら手招きをした。