陽のあたる場所で 〜戦国遊戯３〜

「くっ…あぁ…」

幸姫はそっと、うなされている男の人の額の汗をぬぐった。

屋敷に戻ると、ちょうど門をくぐったところでおはるが幸姫達を見つけおあきを呼んできて、男の人の手当をしてくれた。

「大丈夫かな…」

見ず知らずの人間とはいえ、命を狙われていたっぽいし、目の前で人が死ぬのを見るのは嫌だった。
そっと濡らした手ぬぐいを、額にのせようとしたときだった。

「きゃぁ！」

肩で息をしながら、うつろな表情で幸姫を押し倒し、のど元にクナイを突きつける。

「ここはどこだ…」

「えっと…おっさんのお屋敷」

幸姫が言うと、男の人はうめき声をあげてバランスを崩す。

「あぁ、ほら！ちゃんと寝てないと！」

そう言って、幸姫は手に持っていたクナイをひょいっと奪い取ると、そのまま布団に男の人を転ばせた。

「うっ…」

小さく声を上げる男の人をみて、幸姫は軽くため息をつく。

「大怪我してるんだから、おとなしく休んでたら？」

そっと額に手を当てる。

「やっぱり。まだ熱だってあるし。何があったのかよくわかんないけど、おっかけられてるんでしょ？」

幸姫の言葉に、男の人はまた体を起こそうとした。