陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜

「はぁ…た、助かった」

とりあえず、自分の腰紐を2本使って、2人を縛ってそのまま茂みに隠すと、払いのけた男の人のところへ駆け寄った。

「大丈夫かな…」

そう呟いたものの、明らかに顔色が青白くなっていて、服についている血のシミも大丈夫そうには見えなかった。

「仕方ないよね」

幸姫はふぅ、と息を吐くと、風呂敷を口にくわえて、男の人をおぶって歩き出した。
自分より大きな、しかも規格外にでかい男をおぶって歩く道のりは、信じられないくらいに疲れた。途中で人が通りかかったら、助けを求めようと思っていたのにもかかわらず、そういうときに限って誰も通りかかることがない。

「もうひょっと…」

はぁはぁと肩で息をしながら、見覚えのある家が見えてきた頃だった。

「わぁ!」

突然、後ろからドン!と突き飛ばされ、幸姫はバランスを崩してそのまま倒れこんだ。

「いった…」

砂利ですった腕をさすりながら、幸姫が振り返ると、鬼のような形相でにらみつけてくる男の人の姿があった。

「貴様、何奴」

男の人の言葉に、幸姫はカチンとなる。

「ちょっと。助けられたくせに、それはないんじゃない」

幸姫の言葉に、男は少し怪訝そうな表情を浮かべる。
が。

「あぶな!」

ぐらりとその場に倒れこみそうになる男の人を、慌てて幸姫は抱きとめる。

「ぐっ…」

何かを言おうとしたが、男の人は苦痛でうめき声だけをあげると、そのまま意識を失った。

「…早く手当てしないと」

幸姫は急いで男の人を担いで屋敷へと戻った。