陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜

金、銀、鼈甲に、綺麗な石をちりばめたりして綺麗に飾っているものから、木製のシンプルなものまで。たくさんの簪に、幸姫はうっとりとした表情でそれらを見つめていた。

「…ほら、こいつだ」

いつの間にか戻ってきた男の子に手渡された風呂敷を、幸姫は慌てて受け取った。

「簪、珍しいのか?」

聞かれて幸姫は恥ずかしそうにしながら頷いた。

「本物って見たことなかったから」

「そうか」

男の子がぶっきらぼうに呟く。
幸姫が苦笑しながら、それじゃぁ、と頭を下げて家を出ようとすると、男の子は少しだけ顔を赤らめながら幸姫に言った。

「…喜多様に、よろしく言っておいてくれ」

「はい」

にっこりと笑って、幸姫は頷くと、男の子の家を後にした。