陽のあたる場所で 〜戦国遊戯３〜

「…自転車って、便利なんだ」

喜多に頼まれたお使いは、少し町から外れたところにいる職人から、簪を受け取ってくることだった。道は1・2回曲がる程度で、特に分かりにくいわけでもなかった。
だが。

「半刻もあればつくと思うわ」

喜多の言葉の意味がよくわかっていなかった。半刻というくらいだから、何かの半分なのだろうと思い、それなら結構近そう、なんて思った自分が恨めしい。

「もう、ゆうに1時間くらいたってんじゃない？」

上ってきた太陽が、じりじりと幸姫を照らす。疲れて歩くのを嫌がる足を、何とか必死に歩かせ、目的地を目指す。
しばらくたったところで、喜多の言っていたような造りの家を見つけた。

「他に家ないし、きっとここだ！てかここじゃないとヤダ！もう歩けない！」

そう叫ぶと、幸姫は急ぎ足で家へと向かった。