ガバッと起き上がる。うっすらと額に浮かぶ汗をぬぐいながら、幸姫は深呼吸をひとつする。
…そっか。おっさんの家だ。
ふと、もう片方の手に自分がぎゅっと何かを握っているのに気づく。見るとそれは落ち着いた藍色をした羽織だった。
「…なんだろ、これ」
首を傾げていると、ばたばたと誰かが部屋に近づいてきた。
「あら、おはようございます。幸姫殿」
喜多に言われて、幸姫は軽く頭を下げた。
「おはようございます」
喜多がふと、幸姫の手に握っている羽織を見て首を傾げた。
「あら、それは小十郎の…」
「え…?」
幸姫は立ち上がり、羽織を綺麗にたたんで、喜多に渡す。
「すみません、起きたら握り締めてて」
よくわかっていない、という顔をして差し出すと、喜多は少し笑いながら、ありがとう、
と羽織を受け取った。
用意されていた朝食を食べ終えたあと、幸姫は喜多のお使いに出ることになった。
「片倉家に住まうことになったのですもの。少しは働いていただかないと」
にっこりと笑う喜多に、幸姫はもっともな話だ、と思い、何か自分にできることはないかと聞き、お使いに行くことになった。
…そっか。おっさんの家だ。
ふと、もう片方の手に自分がぎゅっと何かを握っているのに気づく。見るとそれは落ち着いた藍色をした羽織だった。
「…なんだろ、これ」
首を傾げていると、ばたばたと誰かが部屋に近づいてきた。
「あら、おはようございます。幸姫殿」
喜多に言われて、幸姫は軽く頭を下げた。
「おはようございます」
喜多がふと、幸姫の手に握っている羽織を見て首を傾げた。
「あら、それは小十郎の…」
「え…?」
幸姫は立ち上がり、羽織を綺麗にたたんで、喜多に渡す。
「すみません、起きたら握り締めてて」
よくわかっていない、という顔をして差し出すと、喜多は少し笑いながら、ありがとう、
と羽織を受け取った。
用意されていた朝食を食べ終えたあと、幸姫は喜多のお使いに出ることになった。
「片倉家に住まうことになったのですもの。少しは働いていただかないと」
にっこりと笑う喜多に、幸姫はもっともな話だ、と思い、何か自分にできることはないかと聞き、お使いに行くことになった。


