陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜

まだ熱い自分の頬を擦りながら、幸姫は廊下をぼーっと歩いていた。

結局、わけがわからないまま、あたふたしていると、政宗がもう寝る、と言い出したので、おやすみなさいと言って、幸姫は部屋を出たのだった。

「なんていうか…よくわかんない奴よね」

はぁ、と小さく溜息をつく。
そして、これからどうしたらいいのかもわからず、幸姫はまた溜息をつくと、縁側に座って月を眺めた。

「…酒臭い」

ジッとしていると、自分の息が酒臭いことに気づき、少しだけげんなりした。


…元をただせば、あいつがお酒飲ませるのが悪いんじゃん。


母があれだけお酒は二十歳になってからと言っていた意味が、よく分かった気がした。


それにしても綺麗な顔してたなぁ。


ふっと政宗の顔が頭に浮かび、また、顔がかぁっと赤くなった気がした。


ほんと、むかつくくらい綺麗で…


そしてそのとき、ふと、政宗の目から、涙がこぼれたのを思い出す。
とくん、と、小さく、幸姫の胸がなった。

「あんなの…反則じゃない」

はぁ。と溜息をつき、ごろんとそのままねっころがり、ぼぅっと月を眺めていた。