この男の言うことは、いつだって正しい。
たとえ俺が道を踏み外そうとしても、必ずそれを正してくる。
そして、俺が本当にしたいことを、口にしなくても理解してくれもする。
わかっている。
そう、答えようとしたが、声に出なかった。
目の前にいるこの娘は、似てはいるが玲子とは違う。
それは…幾度となく、思い知らされてきたことだ。
いつまでも女のことを引きずるなど格好悪い、そう思っていた。
しかし、忘れたいと思う気持ちと、忘れたくないと願う思いは、政宗の中でいつも混在していたのだ。
愛姫を傷つけ、泣かせてしまった時、小十郎に言われた一言。
『奥州筆頭であることをお忘れですか』
その一言で、俺は、
『忘れなくては』
そう思った。
そしてそれからは、玲子のことは考えないようにしていた。
そして、いつの間にか。
玲子に出会う前の俺に戻った。
そう、思っていた。
だが。
「それでもあいつは…やっぱり特別だったんだよ」
深く、静かに息を吐く。
ほんのりと紅潮した幸姫の頬を撫でながら、政宗はそう、呟いた。
たとえ俺が道を踏み外そうとしても、必ずそれを正してくる。
そして、俺が本当にしたいことを、口にしなくても理解してくれもする。
わかっている。
そう、答えようとしたが、声に出なかった。
目の前にいるこの娘は、似てはいるが玲子とは違う。
それは…幾度となく、思い知らされてきたことだ。
いつまでも女のことを引きずるなど格好悪い、そう思っていた。
しかし、忘れたいと思う気持ちと、忘れたくないと願う思いは、政宗の中でいつも混在していたのだ。
愛姫を傷つけ、泣かせてしまった時、小十郎に言われた一言。
『奥州筆頭であることをお忘れですか』
その一言で、俺は、
『忘れなくては』
そう思った。
そしてそれからは、玲子のことは考えないようにしていた。
そして、いつの間にか。
玲子に出会う前の俺に戻った。
そう、思っていた。
だが。
「それでもあいつは…やっぱり特別だったんだよ」
深く、静かに息を吐く。
ほんのりと紅潮した幸姫の頬を撫でながら、政宗はそう、呟いた。


