陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜

「お?ねえちゃん、どうしたんだい?観念したのか?」

目の前の男がそう呟くと、幸姫は笑いながら、そうね、と呟いた。

「なら…」

男が言いかけたのと同時に地を蹴り、男めがけて真っ直ぐ飛び込んだ。

「私は何にも…」

そう言いながら男のみぞおちに思い切りこぶしを捻じ込んだ。

「持ってないわよ!」

「ぐぉっ……」

入りどころがよかったようで、男は一瞬白目をむき、そのまま倒れこんだ。

「お頭!?」

一瞬、辺りの男達がどよめく。
その隙に、幸姫はダッとその場から逃げるように走り出した。

「あ!待て、このあまぁ!」

すぐさま後ろを男達が追いかけてくる。
いくらなんでも多勢に無勢。不意打ちの後では、あいつらを相手に倒しきる自信はなかった。

びりびりとしびれている右手を、痛いと振りながら、幸姫は必死で逃げた。