陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜

バサバサっと何かが飛び立つ音がした。ビクッとなり、思わず音のしたほうへと振り返る。

「………」

急に辺りが静かになった気がした。
水の流れる音、草木の葉が擦れる音。普段なら気にもならないような小さな音が、妙に耳についた。

「…とにかく、今日は帰ろう」

そう呟いたときだった。

「へぇ…どこに帰るんだい?」

後ろからいきなり、男の声がした。振り返ると、そこには人相の悪い男達が数人立っていた。

「ドコだって…いいでしょ」

そう答えながら、なんとなく、嫌な予感がした。
たぶん、これは、まずい事態なんだと、直感的に。

「そうだな、どこだっていいさ。でもその前に、持ってるもの全て置いてってもらおうか」

いかにもなセリフに、思わず溜息が出た。

「嫌だって言ったら?」

少しずつ、気づかれないように逃げ道を探してみる。
いつでも逃げられるようにと、少し足を動かしたとき、じゃりっと音が鳴った。

「おっと…逃がしはしないぜぇ?」

思わず苦虫を噛み潰したような表情になってしまう。逃げようと思っていた後ろ側にも回り込まれてしまい、取り囲まれるような状態になってしまっていた。


まっずいなぁ…どうしよう。


ふぅ、と小さく息を吐と、腹をくくり、相手の人数と配置を確認し、着物のすそを持ち上げて、帯止めのところで邪魔にならないように止めた。