少し歩いたところに、小さな小屋を見つけた。

「…水、絞れるかな」

ベッタリと張り付くジーンズがどうしても気持ち悪くて、一度絞ってしまいたかった。
が、その為には一度脱がなければいけない。
当然、そんなところを誰かに見られるのは恥ずかしい。

で、結局諦めていたのだが。

「あ、鍵ついてない」

見てみると、戸の部分には閂のようなものがかけられているだけで、鍵穴なや南京錠の類いはついていなかった。

「しつれーしまーす…」

閂を外して、中を覗いてみる。どうやら物置小屋として使われているようで、鍬や鎌といったものが片付けられていた。

「ちょっとごめんなさい」

小さく頭を下げて、幸姫は中に入った。

幸い、窓もついていなかったので、幸姫はほっとした表情で、服の水を絞り始めた。